「改修後に、居住者の起床時の最高血圧が有意に低下」
「室温が低い家では、コレステロール値が基準範囲を超える人、心電図の異常所見がある人が有意に多い」
「床近傍(床近辺)の室温が低い住宅では、様々な疾病・症状を有する人が有意に多い」
岩前氏によると、新築時に断熱材を入れれば、費用は約50万~100万円(金額はあくまで目安)。一方、リフォームだと壁を壊したり、足場を組んだりするため、約300万円かかることがあるという。
「バリアフリーの改修工事時に、断熱材も加えてほしいです。ただ、経済的にそこまではできない場合もあります。代替策として、今ある壁に貼り付ける『断熱シート』と『内窓』を取り付けるのも効果的です」
断熱シートは価格が数千円からで、自分で貼れるものもある。冷気が入り込む窓に取り付ける内窓は、業者にサイズを測ってもらい、あとは取り付けるだけ。サイズによるが、1カ所4万円台からつくっているメーカーもある。
「朝方の寝室の温度は、10度以下になる家が少なくありません。一方、布団の中は25度くらいになります。温度差がかなり大きくなりますから、すべての部屋に断熱材や内窓を付けるのが難しければ、寝室を優先することをお勧めします。防音にもなり、睡眠の質も良くなります」
窓やドアの隙間にテープを貼って隙間風の侵入を防ぐのも手だ。何もしない場合、外気温が2度ほどだと、風当たりにもよるが、窓面の温度は5度ほどまで下がる。暖房をつけても暖まりにくい。断熱材を入れるなどすれば暖まりやすくなり、結果的に省エネにもなる。
エアコンがある家は、起床2時間前に作動するようにタイマーをかけておきたい。エアコンのつけっぱなしは、電気代がかかるため躊躇するかもしれないが、最近は省エネ性能が高くなり、それほどコストがかからないものも増えている。
油断して凍死しないよう、命を守る対策をしてほしい。(本誌・岩下明日香)
※週刊朝日 2020年3月6日号