「深呼吸をすると、人間の体で一番大きい呼吸筋である横隔膜が動きます。筋肉を動かすと、体の中に熱を発生させることができます。横隔膜が大きく動いていれば、腹式・胸式のどちらでも構いません」
また、一日で一番体温が低下する朝に、具材入りの温かいスープを取りたい。
「温かい水とコーヒー、具材入りのスープを朝に飲んで体の温まり具合をみる実験をしたことがあります。温かい水とコーヒーは、15分ほど体が温まりましたが、30分経過すると手足が冷え始めました。具材入りのスープは、4時間温まるという結果が出ました」
具材が消化されるまで胃腸の筋肉が動き、熱が発生する。だから、温かいものを飲むだけでなく、きちんと食べることも大切だ。
アルコールで体を温める人もいるだろう。だが、血管が拡張して一時的に温まるだけで、逆効果になる。
「頻尿を招き、尿から熱を放出して結果的に体温を下げるので避けてください。高齢者で夜間頻尿が多い人は、温かくして寝ると、頻度が減ってきます」
住まいにも気をつけたい。近畿大学建築学部長の岩前篤教授は、一般社団法人「き塾」で、安全で住みやすい木造建築を広める活動をしている。
「18年11月、世界保健機関(WHO)は、『住まいと健康に関するガイドライン』において、寒い季節の安全な室温を18度以上にすることを強く推奨しています。屋内の温度が低いことで健康への影響が大きいという結論からです」
室温は暖房の設定温度ではなく、洗面所を含めた家の中全体を18度以上にすること。下回ると、心臓発作などの循環器系疾患を起こす恐れがあると報告されている。寒暖差によって起きるヒートショックを防ぐことにもつながる。
家の断熱性を高めることも大切だ。ただ、高齢者の住む昔ながらの一軒家には、断熱材が施されていないことが多いだろう。
国土交通省は、住宅内の室温変化が居住者の健康に与える影響を調べた。断熱改修の前後を比較したら、こんな結果が出た。