夏帆:それ、最近考えるんですよ。結婚しても仕事と家庭を両立させてる方はたくさんいらっしゃるけど、自分はできるのかとなると、ちょっと自信がないというか……。子どもができて、母親をまっとうしなきゃいけない中で、どうしてもやりたい仕事が来て、地方に何カ月か行かなきゃいけなくなったときに、どんな感じなんだろうなって最近すごく考えますね。

林:私、子どもが幼稚園ぐらいのとき、2日間ぐらい家にいないと夫がギャーギャー怒鳴ったけど、「女優さんはどうするのよ。何日間も地方ロケがあっても、ちゃんと行かせてくれるのよ」ってよく言いましたよ。女優さんって特殊な仕事だけど、そのときやりたい役があったら、どんなことをしてもやりたいですよね。

夏帆:やりたいと思ってしまうんですけど、結婚するとどうなんですかね。家族が協力的でないと、なかなかできないですよね。

林:まだ先のことでしょうけどね。

 この映画、主演の夏帆さんと妻夫木聡さんの二人が素敵でした。「こういう恋がしたい」「こういう人に抱かれたい」という見てる人の気持ちが可視化されてるような気がして。

夏帆:見てる人が「夢を見てるみたい」と思えるような映画だったらいいなと思います。

林:奥さんはいろんなことを考えながら、独身の女性は自分に問いかけをしながら見る映画なんじゃないですかね。

夏帆:いろんな意見があると思うんですけど、このタイミングでこの映画を世に出すことができるのは、素晴らしいことなんじゃないかと私は思います。私自身こういう日本映画を見たかったなと。今の映画には、こういう恋愛ものはめずらしいのかもしれないですね。

林:そうですよ。今、恋愛小説が売れないんです。皆さんが恋愛をしないから、あんまり興味を持たれなくて、ミステリーとからめたりしないと読んでくれないんですけど、これは非常に正攻法の恋愛映画で、女性の生き方とか、いろんなものをからめてますよね。どこか海外の映画祭に出品するんですか。

夏帆:そういう話は聞いています。

林:ぜひレッドカーペットを歩いてくださいよ。

夏帆:はい、「Red」だけに頑張ります(笑)。

(構成/本誌・松岡かすみ、編集協力/一木俊雄)

週刊朝日  2020年2月28日号

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