人気女優、夏帆さんは妻夫木聡さん演じる元恋人との10年ぶりの再会で、“禁断の愛”に溺れる役を体当たりで演じたばかり。作家・林真理子さんとの対談で“女”トークに花が咲きました。
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林:夏帆さん、今度の映画(「Red」2月21日全国公開)でヒロインの塔子をなさってますけど、夏帆さんのこれからの女優人生が決まるような大役で、すごく難しい役だったんじゃないですか。
夏帆:すごく難しかったです。
林:いろんな顔を見せなきゃいけないわけで、いい奥さんの顔、いいお母さんの顔……。
夏帆:“女”の顔……。
林:官能的な顔も見せなきゃいけないし、強い女の顔も見せなきゃいけないしね。裕福な夫と可愛い子どもがいて、誰もが羨むような暮らしをしているはずだったのが、10年ぶりにかつて愛した男と再会したことで、ちょっとずつ歯車が狂っていくんですよね。過去と今が交錯しながら、男女の物語が進んでいって……。
夏帆:はい。これまでに演じたことがないようなチャレンジが多かったです。試行錯誤しながら演じました。
林:私がイメージしてる夏帆さんにいちばん近いのは、会社の同僚の小鷹さん(柄本佑)と自転車に乗ってるところですよ。どの男の人といるときよりも伸び伸びしてて、可愛い顔して、素のままの夏帆さんという感じでした。
夏帆:あのシーンが唯一、素に近かったかもしれないですね。
林:お相手の鞍田さん(妻夫木聡)って素敵だけど、女の人のエネルギーを吸い取っちゃう感じがあるじゃないですか。小鷹さんみたいな人がいちばん幸せにしてくれるのかもしれないなと思った。
夏帆:私も、脚本を読んだときも演じてたときもそう思ってました。ただ、鞍田さんにはあらがえない何かがあって……。
林:目の前に鞍田さんみたいな男の人がいたら、そりゃ魅力的だと思いますよ。しかもあの眼差しで見つめられたら、女の人はひきつけられちゃいますよね。
夏帆:あんな人が目の前にいたら、もうしょうがないですよね。私も演じながら、しょうがないよなこれは、みたいな感じで(笑)。
林:再会の仕方も劇的だし、エロチックでした。塔子さんって、ふつうの奥さんのように見えるけど、心の中に非常に熱いものを秘めている人だなということが、あの再会のシーンでわかりますよね。フランス映画っぽくて素敵でした。