橋本副大臣の書き込みは岩田教授の告発内容には触れず、船内に「侵入」したことを問題視するようなものだ。

 専門家の告発に政治家が“反発ツイート”することには、「都合の悪い情報を公開されて怒っているようなものだ」といった意見が、ネット上などで出ている。

 こうした問題は2月19日の衆院予算委員会でも取り上げられた。野党側はクルーズ船内の感染症対策が不十分で、感染を抑えるために隔離したのにかえって被害を拡大したと追及した。

 これに対し、加藤勝信厚生労働相は失敗は認めず次のように述べた。

「今回のオペレーションを的確にするために、横浜の現地に橋本副大臣と自見英子政務官がずっと行っている。医師でもある自見政務官から報告を受けたところ、船内の区域管理が適切に実施されているかも含め、感染管理については専門家の医師に見てもらって指摘があればその日のうちに対応している」

 政府として十分に対応したと言いたいようだが、集団感染したという事実は消せない。

 米紙ウォールストリート・ジャーナルが乗客の米国人医師への取材をもとに、「クルーズ船内隔離は失敗」と報じるなど、国際的に批判は高まっている。

 政府の対応が不十分で情報公開も進んでいないといった見方は、国内でも広がる。「桜を見る会」の問題もあって、内閣支持率も下がってきた。3閣僚が重要な会議よりも私的会合を優先したことは、与党内からも疑問の声が上がっている。新型コロナウイルス感染症対策本部長である安倍晋三首相の責任が、改めて問われそうだ。(本誌・多田敏男、池田正史)

※週刊朝日オンライン限定記事

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池田正史

池田正史

主に身のまわりのお金の問題について取材しています。普段暮らしていてつい見過ごしがちな問題を見つけられるように勉強中です。その地方特有の経済や産業にも関心があります。1975年、茨城県生まれ。慶応大学卒。信託銀行退職後、環境や途上国支援の業界紙、週刊エコノミスト編集部、月刊ニュースがわかる編集室、週刊朝日編集部などを経て現職。

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