「目の症状に関しては、飛散量にかかわらず、飛散する2週間前ぐらいからアレルギーを抑える点眼薬を使いましょう」
と助言する。眼科で使われているのは、抗ヒスタミン薬やケミカルメディエーター遊離抑制薬の点眼薬。最近ではドライアイの治療を並行して進めることも少なくないそうだ。
「アレルギー性結膜炎は花粉などのアレルゲンが結膜の中に入ることで起こります。結膜を覆うムチンという成分が十分にあって、表面のバリアがしっかりしていれば、アレルゲンが入ってきにくい。アレルギー性結膜炎は起こしにくいのですが、ドライアイではこのムチンが少ないため、バリア機能が弱い。簡単にアレルゲンが入ってしまうため、アレルギー性結膜炎が起こりやすいのです」(三村さん)
ドライアイの治療に使われる点眼薬は、人工涙液やヒアルロン酸製剤のほかに、ムチンの分泌を促すムチン製剤がある。ムチン製剤を使っていると結膜の表面が正常化し、涙の量も増えるという。
花粉症、ドライアイのいずれの治療でも大事なのは、点眼回数を守ること。目薬は症状があるときに差すものというイメージだが、効いている時間によって目薬を差す回数が決められている。症状があってもなくても差すようにしよう。
セルフケアは花粉が目に入らないメガネが有効。入ってしまった花粉を洗い流す洗眼も効果的だという。
市販されているものでは、カップに液を入れて目を洗うタイプと、目薬のように目に差すタイプがある。三村さんによると、どちらでもいいが、防腐剤が入っていないものを選んだほうがいい。防腐剤の中には、角膜の上皮に問題を起こすものがあるためだ。
「カップ式の洗眼液なら顔を洗ってから使うこと。メイクも落としてください。洗眼液が目だけでなく、まぶたやまつげの汚れも洗い流すため、目にアレルゲンが付着し、症状をひどくすることがあります」(同)
かゆみがひどくても、かいたり、たたいたりしないこと。症状がかえって悪化してまぶたが腫れる「眼瞼炎」や、目の表面にある角膜が傷つく「角膜炎」を引き起こすことがある。