ドラァグクイーンとしてデビューし、テレビなどで活躍中のミッツ・マングローブさんの本誌連載「アイドルを性(さが)せ」。今回は、「島田紳助さん」を取り上げる。
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アイドルは世間の熱量が作り上げるもの。画面や舞台に出たり立ったりすることで「納品」されたタレントたちを、お客である世間がどれぐらい「消費したい」と思うかで、そのタレントの「値打ち(人気)」が決まる。これが芸能商売のおおまかな仕組みです。商品(タレント)とお客(世間)の間には、常にメディア(テレビ・映画・ステージ・CD・雑誌など)という名の小売業者が介在し、まずはそこに買ってもらえない限り、タレントに商品価値は生まれません。
しかし今の時代は、そのような小売業者を通さずとも「値打ち」を見出し、直接お客へ「納品」できるシステムが次々と登場しています。ブログやツイッターといったSNS、ユーチューブなどのネットを使ったツールの発達も著しく、独自の手法で世間に「直納品(発信)」する人たちで溢れ、もはや大手も正規も関係ない「総インディーズ化」状態です。インディーズ市場で勝機を掴み、メジャー進出を目指す人たちもたくさんいるとはいえ、今や個人発信された情報や作品に、メジャー市場のそれを上回る「値打ち(注目度や人気、時には値段)」が付くことも珍しくありません。
これほどまでにインディーズ市場の生産性が高くなると、線引きが難しくなってくるのが「プロフェッショナル」の定義です。こと芸能人やタレントといった「無形商品」は、境界線が曖昧になりつつあります。そんな中、先日の島田紳助さんの「ユーチューブ出演」は象徴的な出来事でした。