監督 クリント・イーストウッド/新宿ピカデリーほか全国公開中/131分 (c)2019 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED, WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC
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「リチャード・ジュエル」が全国公開中だ。監督は今年90歳になる、アメリカが誇る巨匠イーストウッド。本作が記念すべき40作目になる。リチャードの母親ボビ・ジュエルを演じる「ミザリー」のキャシー・ベイツが、本年度のアカデミー賞助演女優賞にノミネート。

【「リチャード・ジュエル」の場面写真はこちら】

 1996年のアメリカ、オリンピックイヤーのアトランタ。警備員のリチャード・ジュエル(ポール・ウォルター・ハウザー)は、公園で不審物を発見。その中身は無数の釘が仕込まれたパイプ爆弾だった。事件を未然に防ぎ一時は英雄視された彼だが、現地の新聞社とテレビ局がリチャードを容疑者であるかのように書き立て、実名報道したことで状況は一変。FBIの徹底した捜査やメディアの連日の過熱報道によって彼の人格はおとしめられていく。

 そこへ異を唱えるために弁護士ワトソン(サム・ロックウェル)が立ち上がる。無実を信じるワトソンだったが、立ちはだかるのは、FBIとマスコミ、そして3億人近いアメリカ国民だった──。

 本作に対する映画評論家らの意見は?(★4つで満点)

■渡辺祥子(映画評論家)
評価:★★★★ 超オススメ、ぜひ観て
ヒーローから一転、犯人にされる過程を何気ない会話の積み重ねでサラリと見せるのが怖い。FBIの思い込み捜査、女性記者の色仕掛け。そこに生まれる人間味たっぷりの弁護士と生真面目な主人公の友情にホッとする。

■大場正明(映画評論家)
評価:★★★ なかなかGOOD!
キャスティングが絶妙。巨漢で純粋すぎるために、ときに疎まれ、誤解されるジュエルの孤立感がひしひしと伝わってくる。イーストウッドが描くまったくタイプが異なる男同士の絆は実に小気味よく、やはり上手いと思う。

■LiLiCo(映画コメンテーター)
評価:★★★★ 超オススメ、ぜひ観て
この話は全く知らなかった。アメリカ人も知らなかったみたいで更に驚き。人の一言で人の人生がダメになる。デタラメの噂が広がって、ずっとドキドキした。なんの前情報もいらない映画。さすがイーストウッド!

■わたなべりんたろう(映画ライター)
評価:★★★★ 超オススメ、ぜひ観て
正義感が人一倍強い人物がメディアに翻弄される様を現在のフェイクニュースの問題を浮き彫りにさせて描く。実力ある俳優陣が脇を固め、主人公を演じる怪優も見事だ。監督の視点の確かさと職人的な手腕が際立つ。

週刊朝日  2020年1月31日号