五輪によってスケジュールが変わる今年のプロ野球。東尾修氏は、各球団の今季の取り組み方について助言する。
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2020年、東京五輪イヤーがスタートを切った。野球に興味のない方々にも見てもらえるのが五輪という大会。野球の魅力をいま一度確認してもらう意味でも、絶対に成功を収めなければいけない。
ペナントレースも例年と違った対応が求められる。五輪に合わせてプロ野球のシーズンは7月21日~8月13日の間、中断される。オールスターが7月19、20両日で行われるが、前半戦最終戦は7月18日。8月14日の再開まで中26日の空白が生まれる。五輪の舞台でプレーするのは24人だけ。その他の大半の選手は1カ月近く真剣勝負の場から離れることになる。
例えばシーズンが終わり、CSファイナルステージから出場するリーグ優勝チームでも、空いても2週間程度だ。それがさらに10日以上延びるのだから、実戦感覚にもずれは生じるだろう。そして、五輪に出場した主力選手のコンディションも変化が出ていることだろう。球団に戻れば中心となるべき選手の疲労も考えながら、戦う必要も出てくる。球団としてのコンディション管理と五輪期間中のチームの取り組み方次第で、五輪前まで快調だったチームに一気に変化が生じる可能性も出てくる。
さらに、開幕は3月20日と例年より1週間から10日も早い。おのずと、オープン戦も1週間早まって2月16日から始まる。問題なのは試合数。昨年のオープン戦より16試合少ない85試合となっており、単純に考えて、若手のアピール機会は減ることになる。
ただ、そこは考えようである。ペナントレースをレギュラーだけで戦い抜けるわけではない。開幕が早いなら、オープン戦で好調をキープした選手を思いきって開幕から使う。逆にベテランは、4月以降に合わせていくといった「2段構え」の見方も状況に応じて必要になるだろう。
空白期間についても、前向きにとらえ、春から戦い抜いてきた選手の「疲労軽減」や「再構築」の場としてどう生かすかも大事な観点となる。いずれにしても、現場の監督の発想だけでは限界がある。球団と現場一体となって年間をどう戦うかの意思疎通を図ったチームが浮上する。