対等合併の相手の一つだと推測されているが東京女子医大だ。早稲田大と同じく新宿区にあり、共同大学院を設置するなど連携を深めている。

 女子差別入試問題で補助金がカットされた東京医科大学も候補に浮上している。ある早大出身の医師はこう明かす。

「東京女子医大の先生からはきっぱりと、『合併はあり得ない』と言われた。建学の理念に女性の医療従事者の育成があるためです。東京医大についても、経営が厳しいから合併してくれるのではないかというのは短絡的な考えです。そもそも開業医の育成に重きを置いており、早稲田とは相いれません」

 それならどこの大学があり得るのか。前述の医師はこう期待する。

「一番いいのは国立の東京医科歯科大。私立医科大のような学閥意識が薄い。早稲田と組めばブランド力が一気に高まり、東大慶応に並ぶことができる。早稲田にとっても、東大や慶応にない歯学部が加わるのも大きい。学術連携は進んでおり、合併が実現すれば世界とも戦っていく実力がつくはずです」

 私立大と国立大の合併は現状では難しいが、統合・連携を可能にするための制度改正の議論は進んでおり、関係者の夢は膨らむ。果たして早大医学部はいつ“正夢”になるのだろうか。(本誌・吉崎洋夫)

※週刊朝日オンライン限定記事

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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