睡眠中に足がつり、その痛みで目が覚めてしまった、という経験はないだろうか。寒い時期に、中高年に多く見られる症状だ。たかが「こむら返り」(筋けいれん)と侮ってはいけない。悪化すると湿疹や潰瘍(かいよう)が生じる病の初期症状かもしれない。治療法と誰にでもできる予防法を紹介する。
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まずは北青山Dクリニック(東京都渋谷区)院長の阿保義久さんに話を聞こう。足の痛みやむくみなど足のお悩み解決の専門家だ。
「毎晩毎晩、足がつって非常につらいという症状を訴えた方が、手術をしたその日から症状が消えました」
阿保さんは、国内で初めて下肢静脈瘤(りゅう)の日帰り根治手術を発案したパイオニアだ。
下肢静脈瘤とは、足の静脈がこぶのように膨らんでくる病気。足に血液がよどんでたまることから、だるさ、重さ、ほてり、むくみ、かゆみ、痛みだけでなく、足に潰瘍ができることもある。阿保さんによると、軽症例も含めれば10人に1人の割合でいるという。
「毎日のように足がつる人はまず、下肢静脈瘤を疑ったほうが良いでしょう。こむら返りは、下肢静脈瘤の初期症状なのです。下肢静脈瘤を伴ってこむら返りを訴えてきた患者さんの8~9割以上が、手術で完全に症状がなくなります」
手術は最新のレーザー機器で行い、メスも使わず30分で終わる。治療後はすぐに帰宅できる。
「こんなに楽になるのだったらもっと早くやっておけばよかった、と皆さんおっしゃるほどです」
足がつる原因は、いろいろだという。
「脱水や筋疲労など、非日常的な原因で起きることは多くあります。カルシウムやマグネシウムなど電解質のバランスが崩れることで筋肉の過収縮が起きれば、こむら返りになります。また、薬剤が原因のこともあります。薬を変えて数週間経ってから頻繁に起きるようなら医師に相談を。ほかにも糖尿病などが原因のこともあります。こむら返りは、筋肉の収縮時に働く『腱紡錘(ぼうすい)』の機能が落ちることで起きると考えられています」