船水さんは、お灸も勧める。最近は薬局でも普通に手に入る。
「足の裏にあてれば、血行促進になり、東洋医学でいうところの『腎』が高まります。お灸が無理なら、ぬらしたタオルを電子レンジなどで温めて蒸しタオルを作り、それで足の裏を包むだけでも良いです。蒸しタオルでふくらはぎも包んで、タオルの上から軽く押してください」
「手足ぶらぶら体操」も予防に役立つようだ。介護予防体操としても有効な、あおむけで手と足をぶらぶらと動かす運動で、全身の血行を促進させる効果がある。布団に入ったら、この体操をしてみよう。
「(足つりの予防のためには)睡眠1時間ほど前の水分補給もいいですが、夜間頻尿が心配な人もいると思います。まずは体を温めるほうを優先させましょう」
前出の鳥居さんも、冷え対策として、部屋を暖めたり入浴したりするなどして血液の流れを良くすることを推奨する。そのほか、こうも語る。
「血中にカリウムが不足する『低カリウム血症』で足がつることもあります。そういう方の場合は生の果物を積極的に。バナナなどはいいですね。マラソン時にバナナを食べるのも、カロリー補給だけでなく、足のつり予防のためというのもあるのだと思います」
腎臓が悪い人は逆にカリウムを多く取ることは良くないため、血液検査をして血中のカリウム濃度を調べてからのほうがよさそうだ。
また、前出の船水さんは酸味のある食べ物も効果的だと言う。
「もずく酢とか、グレープフルーツとか、酸っぱいものを食べると、『肝』(肝臓とその周りに関連する組織、器官)を強めます。『肝』は筋と関係があるので、筋肉も引き締まります。いつ食べてもいいですが、3食のうちのどれかの食卓に並べてみましょう」
それでも足がつったときの注意点を、船水さんに聞いてみた。
「慌てず落ち着いて呼吸しながら、ふくらはぎを両手で包むようにして温めて、足の親指を手でつかみ、そり返すようにゆっくり伸ばしましょう」
足つり予防法は、健康法そのものだ。今晩から血行促進を心がけ、安心して布団に入ろう。(本誌・大崎百紀)
※週刊朝日 2020年1月3‐10日合併号