DV家庭に育った友人が、「今の朝ドラは嫌い」とハッキリと言っていた。彼女がテレビをつけたらちょうど、小学生の主人公が、知人宅で泥酔した父親を迎えに行くシーンがあったという。幼い娘に寄りかかりながら、お父ちゃんは文字通りでれでれと娘にしなだれかかる。
「小さい女の子が酔っ払った父親を迎えに行くシーンを、ほんわかした話として描かれるのはつらい。トラウマがよみがえる」
それは彼女の幼い頃の体験そのものだったという。悲惨に凄惨(せいさん)に描いてほしいとは言わない。でも、横暴なザ・家父長が軽々しく愛すべきキャラ化されてしまうようなノリ、今の時代、追い詰められる気分にさせられる女性も少なくないのではないか。
さて、2019年も出ました、国際ジェンダーギャップ指数。日本は114位(17年)だった最低ラインを更新し、121位に転落。やっぱ、そういう国で、暴力男だけど根は良い奴さ~、みたいな物語、リアルすぎて怖いのかもしれない。
※週刊朝日 2020年1月3‐10日合併号