宮川花子さん (c)朝日新聞社
宮川花子さん (c)朝日新聞社
多発性骨髄腫の患者数・男女計(国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」から)
多発性骨髄腫の患者数・男女計(国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」から)

 6月から休演が続いていた夫婦漫才コンビ「宮川大助・花子」の宮川花子さん(65)が11日、大阪市内で会見し、「多発性骨髄腫」で闘病中であることを公表した。車いすに乗って会見に臨んだ花子さんは、復帰について「まだ想像がつかない」としながらも、「いつお迎えが来ても幸せだけど、大助を見送るまで生きておこうと思う」と話した。

【グラフ】多発性骨髄腫の患者数

 花子さんは、昨年3月に背中に腫瘍が発見されてから放射線治療を受けていたが、今年1月に悪化。抗がん剤による化学療法をすすめられた。しかし、副作用をおそれて化学療法を約5カ月放置したところ、両足のしびれや形状変化を発症する危険な状態になって、救急搬送された。

 多発性骨髄腫は血液がんの一種で、従来「余命3年、不治の病」と言われていた。だが、近年は薬の開発によって生存年数が飛躍的に延びている。花子さんも救急搬送された後に受けた化学療法で効果が出て回復し、会見を決意したという。

 進歩した多発性骨髄腫の治療とは、どのようなものなのか。週刊朝日ムック『新「名医」の最新治療 2017』から紹介する。

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 1973年に放送された、田宮二郎主演のテレビドラマ「白い影」を覚えているだろうか。2001年には中居正広主演で放送された。田宮演じる医師・直江庸介が侵された病気こそ、多発性骨髄腫だ。

 多発性骨髄腫は、白血球の仲間の形質細胞ががん化する病気だ。血液がんの中では3番目に多い。60代以上で発症することが多く、患者数は10万人に5人だが、年々微増傾向にある。

 骨髄には、血液を造り免疫をつかさどる機能がある。がん化した形質細胞(骨髄腫細胞)があふれる骨髄では、正常な血液が造れない。また、骨髄腫細胞が作り出す異常なたんぱく「Mタンパク」は、高カルシウム血症、腎機能障害、貧血、骨の痛みや骨粗しょう症などの症状を引き起こす。病名の頭文字をとって「CRAB(クラブ)症状」と呼ばれている。

 原因は放射線の影響や殺虫剤、ダイオキシンなどの化学物質の影響が関連するとの説もあるが、明らかなことはわかっていない。

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