【家庭料理てまり】東京都港区新橋2-9-11(営)18:30~23:00L.O.(休)日 肉豆腐、五目玉子焼き各600円。手前左はお通しのナスの煮びたし
著名人がその人生において最も記憶に残る食を紹介する連載「人生の晩餐」。猫特別号となった今回は「看板猫と美味い料理」を紹介。バイオリニスト・岡部磨知さんが通うのは「家庭料理てまり」だ。
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サラリーマンの聖地、東京・新橋。烏森神社脇の居酒屋の格子戸を開けると、カウンターの上に、小上がりの畳に、客の膝の上に、猫、猫、猫……。
バイオリニストの岡部磨知さんは、自宅で4匹も飼うほどの猫好き。半年前に初めてこの店を訪ねて以来、すっかりお気に入りの一軒になった。
「猫カフェはあちこちにありますが、猫と一緒にお酒を飲める店は、ここしか知りません。女性一人でも入りやすい雰囲気なのがいいですね。猫の癒やしオーラがすごいから、友達との会話も自然と穏やかなものになりますし、飲みすぎてはしたない真似をしないよう自戒もします。猫が目立ちますけど、家庭的な料理はどれもおいしい。女将さんも人情に厚くて、まるで皆のお母さんみたいです」
女将の山口高子さんによると、「猫を店に連れてきたのは20年くらい前。野良猫を引き取るなどしてここ2年で急に増えてしまい、今は15匹。どの子もちゃんと躾(しつ)けているので、料理には手を出しません」とのこと。
この店の唯一の欠点は「膝の上でくつろがれると、お手洗いに行けなくなっちゃうこと(笑)」(岡部さん)のようだ。
(取材・文/本誌・菊地武顕)
「家庭料理てまり」東京都港区新橋2-9-11/営業時間:18:30~23:00L.O./定休日:日曜
※週刊朝日 2019年12月13日号