さらにこう続けた。
「『洋子さんの教え』というのがあってね。洋子さんは、後援会の各地区のボスと直結しなさい、ということをいつも言ってきかせていました。だから、しんちゃんは後援会の主立った人たちに直接声をかけるようにしているんです」
また、広島県のある議員からはこんな話も出ている。
「広島では『安倍首相の親族枠』というのがある。商社マンの親族は中国支社(広島)にいて、経済界の活動にも熱心だった。その関係で招待状をもらっているのが何人もいる」
一方、前出の田村氏によると、安倍事務所が招待者を募る案内文書は「2月吉日」で配られるといい、参加希望を出した人にはその後、「桜を見る会 ご連絡」という文書が届く。日付は2月吉日。「この度はご参加を賜りありがとうございます」と書かれているという。
田村氏は、こう語る。
「省庁が招待状を発送したのは3月2日以降です。安倍総理の推薦者が優先されているのが実態です。安倍事務所から申し込んだ人は内閣府は断れない。だれであっても安倍事務所を通せば、実質、内閣府はノーチェックなのです」
どんな人物が招待されたのか。それを検証する手段である招待客の名簿について、内閣府は5月9日に廃棄したと明かしている。当日は、前出の宮本氏が「桜を見る会」の2008~19年の招待者数や、支出額の推移などの資料要求をしていたことから、恣意(しい)的に廃棄した疑いが持たれている。
公文書問題に詳しい右崎正博・獨協大学名誉教授が厳しく批判する。
「資料要求を受けたから廃棄したというのが事実であれば、非常に悪質です。意図的に疑惑を隠そうとしたと思われても仕方ないのではないか。このような文書管理はある種、違法行為と見なすべきだと思います」
名簿には、推薦名簿と招待者名簿がある。内閣府は各省庁や政治家からの推薦を取りまとめた招待者名簿は文書管理の規定にある「関係行政機関等に協力して行う行事等の案内の発送等」の業務に当たるので「1年未満」としている。膨大な個人情報の適切な管理が困難なため、速やかに廃棄したと説明してきた。