北原みのり(きたはら・みのり)/1970年生まれ。作家、女性のためのセックスグッズショップ「ラブピースクラブ」代表
北原みのり(きたはら・みのり)/1970年生まれ。作家、女性のためのセックスグッズショップ「ラブピースクラブ」代表
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イラスト/田房永子
イラスト/田房永子

 作家・北原みのり氏の週刊朝日連載「ニッポンスッポンポンNEO」。今回は日本各地の「男尊女卑」について。

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 性暴力に抗議するフラワーデモを呼びかけてから、半年以上経つ。今、日本全国様々な地域で「一人でもいいからデモをしたい」と立ち上がる女性たちがいる。性暴力は、私たちの日常を浸蝕(しんしょく)する暴力だ。家庭で、学校で、地域で、それは起こる。だからこそ地元で声をあげようとする女性の多さに、この問題の根深さを突きつけられる。

 4月から私は大阪、福岡、名古屋、京都、群馬、静岡のフラワーデモに参加してきた。多くの女性たちとこの問題を語り合ってきた。改めて日本社会隅々まで浸透する「男尊女卑」の強烈ぶりに辟易(へきえき)している。“性差別”という言葉が生ぬるく感じるほどの男尊女卑だ。

 例えば長野県で立ち上がった女性は、「性暴力の根っこに性差別があると思います。長野は酷(ひど)いです。会社の若い男から社長まで、全員が『女のくせに』と言うような文化です」と言っていた。

「いやいや、そんなの長野だけじゃないよ!」と私は叫ぶ。群馬で声をあげた女性は、フラワーデモをやると言ったら、「やめろ、デモは攻撃的だ、フラワーパーティーにしろ」と上司の男性から「アドバイス」されたという。聞かずにデモをしたら職場で露骨に無視されるようになった。名古屋では「男たちが当たり前のように買春を自慢する」と嘆く人がいた。名古屋は日本で最も風俗産業が栄えているとも聞く。京都では、「未だに男性しか入れないロータリークラブがある」と女性記者が辟易していた。

 最近では静岡県での性差別話が凄(すさ)まじかった。例えば、去年の県議会で自民党の議員(当時)が「立ち小便をしながらみずからの男根に夢を託す小学生。そんな気概を持った子供を育てる教育が今日、日本の少子化に歯どめをかける」「子供は三人、外にはいません。子づくりは上手だが子育ては下手」と言ったことが会議録に残っているという。

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