

どの家庭にも常備してある塩。その塩を使って、簡単に日々のお肌のお手入れができる。しかも、科学的に認められた塩の作用に基づく効果が期待できるという。塩には保湿や血行促進作用があり、冬に「塩美容」はぴったり。お金をかけずにできる美容法として自宅で試してみては。
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一般社団法人日本ソルトコーディネーター協会代表理事の青山志穂さん(42)が、塩の魅力にとりつかれたのは10年ほど前。以来、調味料として楽しむだけでなく、美容にも広く活用している。
「身の回りにあり、かつお手頃な価格で手に入るのが、塩。何より食品なので口に入っても安心です。日々の肌のお手入れに使わない手はありません」(青山さん)
秋から冬にかけて、真っ先にオススメしたいと話すのが、入浴剤の代わりに塩を入れる“塩入浴”だ。
「一般家庭のお風呂(180~200リットル)に塩をひとつかみほど(50~70グラム)入れるだけ。入ってみるとわかりますが、一番風呂のようなピリピリ感がなく、とろりとしたお湯になります。湯冷めをしにくく、湯上がり後も肌のしっとり感が続きます。気温が低く乾燥しがちなこれからの季節にはピッタリです」(同)
体が冷えたときは熱め(42度ぐらい)の湯にさくっと入るのではなく、少しぬるめ(38~40度)の湯にゆっくり浸かってみよう。半身浴でもOKで、その場合は塩の量は半分に。
ただ、注意点が二つ。一つは、湯から上がるときは軽くシャワーを浴び、余分な成分を洗い流すこと。もう一つは、浴槽をすぐに洗うこと。浴槽や排水口の傷みやサビの原因になるからだ。湯を抜いて浴槽が空になったら30秒から1分、水をかけて洗い流すといいそうだ。
気になる塩の効果について、補完代替療法に詳しい京都府立医科大学大学院医学研究科の渡邉映理さんは、地中海沿岸を中心に行われているタラソセラピー(海洋療法)を例にあげる。
「昔から塩には保湿作用や血行促進作用、肌を清潔に保つ作用など、さまざまな美容・健康作用が知られています。こうした塩の作用を期待して行われているのがタラソセラピーですが、関節リウマチやアトピー性皮膚炎の改善が認められるなど、有効性を紹介する研究結果も、数多く報告されています」(渡邉さん)
また、塩を入れた湯は温泉でいう塩化物泉に近い。