人材難というわけではない。今季43本塁打で2年連続本塁打王に輝いた山川穂高(西武)、2年連続30本塁打を放った岡本和真(巨人)、今季36本塁打と大ブレークした高卒2年目の村上宗隆(ヤクルト)、侍ジャパンの主力として活躍してきた中田翔(日本ハム)らがいる。岡本、中田は守備能力も高く、幾度も好守でピンチを救ってきた。
大きな重圧がかかる「負けられない戦い」で、本職でないポジションを守ることは大きなリスクをはらむ。4位に終わった08年北京五輪では、G.G.佐藤(当時・西武)が左翼で起用された準決勝・韓国戦で3失点に絡む2失策を犯し、3位決定戦の米国戦でも失点につながる落球をした。西武では右翼を守っており、左翼が不慣れだったことの影響は否定できないだろう。同じ外野でも右翼と左翼では見える風景が全く違い、打球の切れ方も違う。
内野も同様だ。本職は二塁だが実戦で一塁を守ったある選手は、
「一塁は打球の速さが二塁と全く違う。二塁でうまい選手が一塁もできるとは限らない。普段から守り慣れていないと厳しいです」
と漏らしていた。山川、岡本のメンバー入りを望む声は少なくない。稲葉篤紀監督の決断が注目される。(牧忠則)
※週刊朝日 2019年11月15日号
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