日本選手初のドラフト1巡目(全体9位)指名から4カ月。2019年の日本のスポーツ界の顔の一人、米プロバスケットボール協会(NBA)、ウィザーズの八村塁(21)は、1年目となるシーズンで最高のスタートを切った。
10月23日のマーベリックスとの開幕戦では、試合開始2分半後にジャンプシュートで初得点。ゴール正面からの中距離シュートを決めたり、味方のシュートのリバウンドに飛び込んだりと見せ場をつくり、終わってみれば24分51秒の出場で14得点、10リバウンドを記録。高身長選手の活躍の目安にもなる「ダブルダブル」(得点、リバウンドのそれぞれで2桁を記録すること)を達成した。
25日の第2戦、サンダー戦では、34分39秒の出場で19得点、5リバウンド。26日の第3戦、スパーズ戦では、37分超の出場で、ダンクシュート3本を含む16得点、8リバウンド。3戦とも先発出場してプレー時間をどんどん伸ばしながら、2桁得点を続けてみせた。
元日本代表で、日本人初のプロ契約選手でもある外山英明さんは舌を巻いた。
「体の強さなどは通用するだろうと予想していたが、最初からここまでスタート(先発)で点数を取ってくるとは思っていなかった。(活躍するには)もう少し時間がかかると思っていたけれど、それぐらいできる選手だった、ということですね」
1976年モントリオール五輪代表で、NBA解説者を務める北原憲彦さんは、八村の人間的なポテンシャルを絶賛する。
「彼の一番いいところは柔軟性と順応性。ゴンザガ大(全米大学体育協会=NCAA)のときもそうでしたが、チームメートがどんなプレーをしようとしているか、マッチアップした相手選手がどんなプレーを仕掛けてこようとしているか、自分のチームが何を求めているのか、といった状況判断が非常に優秀です。自分の力をどこでどう出すか、冷静に見極めている」
さらに、こう続ける。
「プレシーズンマッチ(シーズン開幕前の練習試合)で、ヘッドコーチ(HC)のスコット・ブルックスが『ベテランのようだ』と言っていました。おそらくぼくが感じたのと同じようなこと、ベテランが果たすような冷静さを指していたんじゃないかと思います」