■憲法上、皇族に基本的人権ない/元自民党政調会長・亀井静香

 日本会議国会議員懇談会で副会長を務めた亀井静香・前衆議院議員は「残念ながら、皇族の方々は一般国民と違い、憲法上、基本的人権はない」と主張する。

 天皇としての活動は憲法や皇室典範によって規定されている。皇位継承は世襲で、亡くなるまで天皇であることが基本だという。結婚の自由などは様々な制約がある。なぜこうした制約が天皇や皇室にあるのか。

「制約があるのは歴史的な教訓を踏まえて、明治になって伊藤博文が作った皇室典範で天皇を担いでの権力争いが起こらないように定められたもの。変えようとすれば、混乱が起きる。できるだけ単純にしておいたほうがいい。そもそも天皇の存在は憲法で生まれたものではない」

 女性天皇については男系であれば認めてもいいという立場だ。皇室が残してきた男系の血筋で、それが守られる限り、本質は変わらないという。

「歴史的な事実として、男系の皇族が天皇に即位してきた。それで万世一系の天皇制度が保たれた。これからもそうあるべきだ。女系天皇を認めるとこれまでの皇室とは違ってしまう」

 天皇の権威に影を落とすような制度は作るべきではないということだ。

「今の上皇陛下が退位するときも私は反対でした。高い山は富士山だけがあればいい」

■安倍政権は天皇の政治利用をしている/共産党・志位和夫

 憲法の条項と精神に基づいて女性・女系天皇に賛成の立場を取るのが、共産党だ。志位和夫委員長がこう説明する。

「国民の中には男性と女性ばかりか、さまざまな性のあり方があります。多様な性を持つ人々によって構成される日本国民統合の“象徴”である天皇を、男性に限定しなければならない根拠はありません。したがって、戦前の規定のままの皇室典範の第1条を改正して女性天皇を認めることは、憲法に照らしても合理性を持つと考えます」

 すなわち、天皇を男性に限っている現状をただすことによって、国民の中の男女平等、ジェンダー平等を推進していくうえでも意義がある、と主張する。

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