帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など多数の著書がある
帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など多数の著書がある
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五木寛之さん (c)朝日新聞社
五木寛之さん (c)朝日新聞社

 西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱する帯津良一(おびつ・りょういち)氏。老化に身を任せながら、よりよく老いる「ナイス・エイジング」を説く。今回のテーマは「うつと付き合う」。

【写真】五木寛之さん

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【ポイント】
(1)うつを敵視せずに、うまく付き合うのが大事
(2)ただ、うつ病なら専門家の治療を受けるべき
(3)いつでも医療者に助けを求めてもらいたい
 
 歳を取ってからうつっぽくなったと感じている方は少なくないのではないでしょうか。

 五木寛之さんの『林住期』(幻冬舎文庫)という著書のなかに、

「(うつ病は)第三の人生、すなわち五十歳から七十五歳までの二十五年間において、もっともおちいりやすい難病である」

 というくだりがあります。すでに87歳になっている五木さんは新たな境地にいらっしゃるようですが、70歳代の頃にお会いしたときには、ご自身がうつっぽい傾向をお持ちでした。そのせいか、この本ではうつについて詳しく述べています。

 うつ病は予防することのできない病気だとしたうえで、「うつという状態こそは、人間が生きていく上で欠かすことのできないひとつのエネルギーの姿だ」と語ります。

 うつは人生の「光と影」の影の部分であり、光があれば影があるのは当然です。だから、

「うつをえたいのしれない怪物のように恐れないことである。人はうつとともに生きるのだ、と覚悟することである」

 というのです。さらには、「うつは現代人の正しい心のありようなのだ。それをまったく感じないような人こそ病人だろう」とも述べています。

 確かにうつを敵視せずにうまく付き合うというのは、大事なことだと思います。ナイス・エイジングにとって重要なことではないでしょうか。

 ただ、うつっぽいというのと、病気のうつとの区別がつきにくいのが難しいところです。うつ病であるなら、やはり専門家の治療を受けるべきです。

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