その可能性は『うた髑髏』にも大いに反映されている。
「アルバムには『いきる』というバラードがある。『髑髏城の七人』という芝居の劇中歌だ。混乱のなか、必ず生きてもう一度会おう、という内容を歌っている。しかし、考えてみてくれ。吾輩のような悪魔は今までほぼ、生きてまた会おうなんて内容を歌ったことがない。死ね! 殺す!と歌ってきたわけだからな。劇団からの依頼で、自分が歌わない劇中歌だったからこそ書けた歌詞だ。それを今回自分で歌った。ものすごく新鮮な感覚だった」
劇団とのコラボレーションでは、自分の楽曲が視覚化される喜びも体験した。
「やはり『髑髏城の七人』に『修羅と極楽』という曲がある。その曲は芝居のオープニングに使われた。天海祐希嬢が仁王立ちで台詞を言って、吾輩の歌が会場に響く。客席で観ていて、なかなか感動したぞ。なにしろ吾輩が書いた歌詞を一流の演出家と役者とスタッフが場面にしてくれるわけだからな。この立体、なんてカッコいいんだ!と本当に鳥肌が立った、歌は自分の声なのに(笑)」
9月4日(水)はコメンテーターとしてレギュラー出演中のTBSの『ひるおび!』のスタジオからNHK近くのホテルへ移動しコメント収録。NHKの企画で山梨出身の力士、竜電について語った。
「『ひるおび!』に出演していると、アーティスト活動に役立つことが多いぞ。ある日、気象予報士の森朗氏が“墜栗花(ついり)”という言葉を使った。梅雨入りのことだそうだ。栗の花が落ちるころに梅雨が始まるから、墜栗花。なんと雅やかな言葉ではないか。オー、これ歌詞に使おう!と吾輩は言って、実際に早速使った。情報番組の仕事では語彙(ごい)が増え、社会が求めていることに敏感になる」
9月5日(木)は現場での仕事はなし。
「この日は銀行に行った。吾輩は悪魔だが、人間界で生活する限り、こういう雑務は避けられないものだ」
9月6日(金)、7日(土)は「悪魔の森の音楽会」の山梨公演だった。