「万引き家族」でカンヌ国際映画祭のパルムドールを受賞し、文字どおり「世界のKOREEDA」になった監督が、世界的スターを集めて撮った国際協力作品「真実」。監督自身が書いたオリジナル脚本にドヌーブが惚れ込んだという。
パリ。世界中にその名を知られる国民的大女優ファビエンヌ(カトリーヌ・ドヌーブ)が、自伝本を出版することになった。タイトルは「真実」。
海外で脚本家として活躍する娘のリュミール(ジュリエット・ビノシュ)と、テレビ俳優としてようやく芽が出始めたその夫のハンク(イーサン・ホーク)は、自分たちの娘のシャルロット(クレモンティーヌ・グルニエ)を連れて母のもとを訪ねる。ほかにもファビエンヌの現在のパートナーや元夫でリュミールの父親、公私にわたるすべてを把握する長年の秘書などなど。出版祝いを口実に、大女優にかかわるあらゆる“家族”が集まるが、全員の気がかりはただ一つ。いったいファビエンヌは何を綴ったのか?
本作に対する映画評論家らの意見は?(★4つで満点)
■渡辺祥子(映画評論家)
評価:★★★ なかなかGOOD!
強い妻と義母を前に、困惑しつつもちゃんと存在しているところを見せるイーサン・ホークに「万引き家族」のリリー・フランキーを見る思い。昔からある大女優の娘は大変、でも母には別の大変があることを描いて身近な感じ。
■大場正明(映画評論家)
評価:★★★ なかなかGOOD!
女優の生き方や母娘の心理を掘り下げるために、嘘が書かれた自伝や短編SFを原作にした劇中劇、母親の親友でライバルだった女優の記憶など、複雑な仕掛けが施されているのに、それをさらりと見せているところが魅力。
■LiLiCo(映画コメンテーター)
評価:★★★★ 超オススメ、ぜひ観て
なんでしょう。映画だから当然物語がありますが、それが好きとかではなく、この空気感と共にゆったり過ごしてねと言われた気が。でも後からこの家族の在り方が脳裏を駆け巡る。家族は難しいけど、面白くて素晴らしい。
■わたなべりんたろう(映画ライター)
評価:★★★★ 超オススメ、ぜひ観て
日本での作品にある細部の情緒には欠ける部分はあるが、海外のキャストとスタッフで挑戦した試みを高く評価。メインキャストがのびのびと演じているのが良く、ビノシュの演技が光る。今後の是枝作品が楽しみになる。
※週刊朝日 2019年10月18日号