経済アナリストの森永卓郎氏が、同じく経済アナリストとして活躍する長男・康平氏と、お金の考え方や年金崩壊時代に生き抜く術を語り合った。
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──お父さんは、「お金にお金を稼がせるやり方」は間違いだと指摘し、村上ファンドの村上世彰氏らを批判してきましたね。
卓郎:はい。村上氏もホリエモンも同じですが、彼らは一貫して「会社は株主のもの」と言い、株式の過半数を制すれば何をやってもいいと思っているように見えます。確かに法律上はそうかもしれませんが、会社は金もうけの道具ではないと私は思うのです。
ホリエモンが主導した2005年のニッポン放送の買収騒動のときも、目的はニッポン放送を踏み台にしてフジテレビの経営権を奪うことにありました。村上氏はそれに乗っかってお金を稼いだのです。ラジオ局は株主だけでなく、リスナーや従業員、取引先や関連会社のためのものでもあります。株主は金を出しているだけで汗をかいて働いているわけではありません。そんな株主が「経営に口を出してエラそうなことを言うんじゃない」と思います。
康平:父は経営をやったことがないからわからないのです。株主にとっては会社の価値が上がることがベストなんです。リスナーが喜ぶことや従業員が心地よく働くことはすべて会社の価値向上につながります。
卓郎:投資ファンドの実態を知らない発言だ。彼らが狙うのは、資産はたっぷり持っているが、業績がいま一つで株価が高くない会社です。いったん買収すると、片っ端から資産を売り払ってしまいます。表面上は会社に利益が生まれますが、彼らは株を手放して売り逃げする。会社は何も残っていないスカスカです。まさにハゲタカ。彼らは事業なんて何も考えていませんよ。マネーゲームで金を稼いでいるだけです。
康平:そういうのがいやなら上場しなければいい。上場している限り、誰が株主になっても会社は拒否できません。それが会社を公開することの意味です。買い占められて会社をスカスカにされてしまうのは経営の責任でしょう。