毎週5日もプール通いの105歳スイマーは、世界記録を18個も保持。大会に向けて、毎日トレーニングに励んでいる。心身の健康を支えるものとは。
1914年生まれ、105歳の女性がいま、「本番」を待つ。山口県在住の長岡三重子さん。9月19日から福岡市で開かれる「第36回日本マスターズ水泳選手権大会」に出場する。
水泳の練習は週5日、1日1時間ほどだ。月曜は普通の筋肉トレーニング、木曜は専門のコア(体幹)トレーナーの個人指導を受けており、完全オフはない。
実は今年1月、転んで2週間ほど入院した。医師からは「泳ぐのは無理」と止められたが、5月半ばに練習を再開。長男の長岡宏行さん(79)が言う。
「101歳のときから毎年転んで入院していますが、骨が丈夫で1週間もあれば退院してきました。今回は圧迫骨折と診断され、泳げない期間も長かったんですが、お袋は普通の人間じゃない。いまのペースなら出場できると思います」
膝のリハビリ目的の水中歩行からプールに入ったのは80歳のとき。25メートルも泳げなかった長岡さんだが、84歳のとき、「日本マスターズ」に初出場した。
88歳で世界に飛び出す。初の「世界マスターズ」のニュージーランド大会の50メートル背泳ぎで銅メダルを獲得。2年後のイタリア大会で三つの銀メダルに輝いた。
「何でも一番にならんにゃ」が口癖の負けじ魂に火がつく。通っていた「柳井スイミングスクール」(山口県柳井市)のコーチに金メダルが取りたいと直訴した。
「腰も腕も曲がっとる、その状態で速う泳げるようになるには個人レッスンしかないと。『金メダルを取れたら報奨金を出す』と、くどいたようです」
コーチで現社長の澤田真太郎さん(44)は言う。
「あまりに熱心なのでスクールで初めて個人レッスンを実験的にさせてもらいました。最初はお年で体が心配でしたが、90代半ばくらいまで記録も伸びたので教える私も楽しかったです」