PVの視聴回数は約2億5千回にのぼるそうだが、軽快、という以上に「ノー天気」だ。チャラい感じ丸出しのジャスティンと着ぐるみ姿のエドがユーモラスでシニカルな印象を残す。

 アルバムの幕開け、R&Bシンガーのカリードとの共演による「ビューティフル・ピープル」もハリウッドのセレブを皮肉り、俺たちは“ビューティフル・ピープル”なんかじゃないと歌う。

 第2弾シングルでラッパーのチャンス・ザ・ラッパー、PnBロックとの「クロス・ミー」は、俺の女に手を出すな!という男同士のやり取りの歌。ゲストの二人がそれぞれの男を演じる。名作映画のオマージュを織り込んだPVが秀逸なトラヴィス・スコットとの「アンチソーシャル」など、共演者の持ち味が生かされている。

 エミネムと50セントとの「リメンバー・ザ・ネーム」では、エドとエミネムそれぞれが有名になる過程を歌っている。

 アーカンソー出身のシンガー・ソングライターのイエバとのバラード・ナンバー「ベスト・パート・オブ・ミー」でも、自身の過去について触れている。歌詞に自伝的な要素を織り込むあたりがエドらしい。

 アルバムを締めくくるのはグラミー賞受賞のソウル/ヒップ・ホップ歌手、ブルーノ・マーズとカントリー・シンガーのクリス・ステイプルトンとの「ブロウ」。意表をつくハード・ロック・ナンバーだ。

 日本ではあまり知られていない新鋭の魅力も感じさせる。ヒップ・ホップ系の曲が主体だが、ポップな曲やバラードも光る。ジャンルの枠を超えたアーティストとの共演を楽しみつつ、制作に取り組んだ様子がうかがえる。(音楽評論家・小倉エージ)

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