私のように金融や投資の教育を担ってきたものにとって、認知症とどう向き合うのかというのは非常に難しいことだと思っています。しかし、前述の統計数値ではありませんが、これが「新しい現実なのだ」「誰にでも起こることなのだ」という理解はせざるを得ません。
そのためには、制度としてこうした金融面でサポートをするアドバイザーがこれまで以上に必要になってきていると感じています。日本の金融市場では、顧客の側に立ったお金のアドバイスのできる人材がまだまだ少ないのが実情です。早くこうしたアドバイザーが増えてほしい。お医者さんが体を診断して処方箋を書き、治療を行うように、お金に対しても診断をし、処方箋を書き、実際の取引も行ってくれるアドバイザーが必要になってきています。
もちろん親の問題だけではありません。自分自身についても、また配偶者についても同様のことが心配になります。
※週刊朝日 2019年8月9日号