今や「大物感」は有用な「ネタ」でもあるのです。その元祖を作ったひとりが大橋巨泉さんです。歳を重ねキャリアを積むほど、扱いづらく気詰まりする存在になってしまうのは致し方ないこと。それが日本の縦社会の美しき構図でもあります。しかし巨泉さんは、たけしさんやタモリさんにネタにされることで、「大物を(敬いつつも)イジって笑ってもいい」という、テレビの新しい見せ方を確立しました。

 さらにもうひとり。いよいよ本格化してきた高齢化社会で、カジュアルなレジェンド扱いすらも拒むかの如く、独特なスタンスを貫いている人がいます。明石家さんまさんです。敢えて「レジェンド」と呼ばれることでネタ性を身に付け、世代間ギャップを埋めようとするベテランが増える中、さんまさんの現役感は、言わば丸腰状態。死んでも年金なんて貰わなさそうな感じ。その内、「レジェンド・ユーチューバー」や「レジェンド・インスタグラマー」、「レジェンド・バーチャルアイドル」なんかを集めて番組を仕切っている姿が容易に想像できます。

 あと、凄いのが安藤優子さんです。日々是現役軍人かの如く「女の最前線」で戦っています。安藤さんに「大物イジリ」をできる人などひとりもいません。

週刊朝日  2019年8月2日号

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