そういうのどの不調に対しては敏感である必要があります。せっかく警告を発してくれても、気づかなければ意味がありません。
私はのどには細心の注意を払っています。少しでも違和感を持ったら、その場で漢方の葛根湯などを飲むようにしています。葛根湯のエキス剤を持ち歩いていて、「あっ、来たな」と直感したら、どこで何をしていてもそれを中断して、エキス剤を飲むのです。これは、よく効きます。私はこのお陰で20年以上、風邪をひいたことがありません。
ただし、のどの痛みなど明らかな症状が出現していたら、もう遅いのです。その前の予兆をつかまえる必要があります。ですから、常にのどの違和感に対し“直観”を研ぎ澄ましておかなければなりません。
この弱い存在であるのどは、老化の影響も受けます。年をとると前述した食物を飲む門と、空気を飲む門の機能の区別があいまいになってしまうのです。
そして起きるのが誤嚥性肺炎です。食道に行くべき食べ物や唾液が気管の方に入ってしまい、それにより肺炎になってしまうのです。お年寄りの多くの方が、この誤嚥性肺炎で亡くなっています。
こうしたのどの老化を防ぐトレーニング法もあるようですが、私はもっぱら、のどをいたわることに力を注いでいます。
のどは弱い存在であることを心に刻んで、いつもこころ配りをすることが大事なのではないでしょうか。
※週刊朝日 2019年8月2日号