今年のテニス・ウィンブルドン選手権は、ノバク・ジョコビッチ(セルビア)が連覇した。世界ランキング7位の錦織圭(日清食品)は準々決勝で敗退。1933年大会の佐藤次郎以来となる4強入りが期待されていただけに残念だったが、その錦織さえできなかった快挙を達成した選手がいる。
16歳の望月慎太郎(Team YUKA)が、ウィンブルドン選手権のジュニア男子シングルスで優勝したのだ。7月14日の決勝ではカルロス・ヒメノバレロ(スペイン)を6−3、6−2で破った。4大大会ジュニア優勝は日本男子初。ジュニアの世界ランキングで昨年末122位だったが、たった半年で1位にのし上がった。
ジュニアの世界ランキング女子1位に91年になったことがある、元プロテニス選手の杉山愛さんは、望月を称賛する。
「6月、初出場の全仏オープンジュニア男子シングルスでベスト4に進出してから、周囲の注目と期待が高まっていました。その中での今回の優勝。ジュニアは気持ちがうまくかみ合わなかったり、空回りしたりするものですが、最後まで気持ちが安定していて大舞台に強い子だと感じました」
決勝戦後のインタビューで望月は、
「最初は観客が多くて緊張したけれど試合が始まるとテニスに集中できた。たぶん人が多い中でプレーするのが好きかも」
と答える大物ぶり。
「慎太郎君は高い技術力を持っている。特にバックハンドが優れていて、全体的に安定していました。ネットプレーでもしっかりとアタックしてポイントを獲得するなど、上手でしたね」(杉山さん)
海外では早くも、「ネクスト ニシコリ」と注目される。
「錦織選手は29歳で、慎太郎君はまだ16歳になったばかり。ヨーロッパの選手に比べて体の線が細いですが、これからフィジカルを強化して、さらに強くなっていくと思います」(同)
望月は中学1年から錦織と同じ米フロリダ州のアカデミーに留学。錦織のヒッティングパートナーを務めるなど間近で練習を積んできた。驚異的な成長力で、錦織とともに日本テニス界を支えてくれるはずだ。
(本誌・岩下明日香)
※週刊朝日オンライン限定記事