【毒親】「溺愛が苦しい」と子どもから縁を切られた
「26年間、長女との交流がありません。こんな親子関係もあるのだと世の中に受け止めてほしい」
と明かすのはカオリさん(仮名、89歳)。自身はきょうだいが多く、物心ついたときから祖父母の元で育てられたため、自分の子どもにはさみしい思いをさせたくないと、長女は手塩にかけて育ててきた。
そのかいあって、長女は大学を卒業し、無事に就職し、同僚と結婚。子どもには恵まれなかったものの、カオリさんには長女は幸せそうに見えたという。しばらくして弟である長男も結婚し、初孫が生まれ、両夫婦が里帰りをしたある年の正月のこと。孫に注目が集まってにぎやかに過ごした。だが、なぜか、それ以来、長女とは交流が途絶えてしまった。
「長女はそのとき、ひどい疎外感に落ち込んだのでしょうか。でもこれは私の想像にすぎません」
カオリさんが気になるのは、後に長女の夫に言われたひとこと。
「お義母さんの溺愛のせいですよ」
一度、長女を訪ねてみたものの、ドアは開かなかったという。
親子で見ている風景が違うことはままある。カオリさんの長女ではないが、母親の愛情が重たかったという子ども側の声も紹介しておこう。
「母はいわゆる毒母でした。母から逃げたくて、関西で就職して結婚しました」
弁護士のトモコさん(仮名、40歳)は、名門中高一貫校から一流大学に進学。それは母親の「監督」のおかげだと認める。
一方、中学受験では「あれだけ塾代を払ったんだもの、頭がいいトモコちゃんなら、合格するわよね」と母親はプレッシャーをかけ、ストレスから血便が出ると「ママのせいなのね。トモコちゃんに迷惑をかけるなら、死ぬわ」と自殺未遂の狂言までしたという。
「ママの思いどおりにしないとママは死んじゃうという恐怖は、心の傷になっています」(トモコさん)
トモコさんが、高卒の料理人の夫と結婚したときは「世界を股にかけて活躍する人と結婚してくれると思ったのに……」と母親はぼやき、子どもが生まれると「この子は、やっぱり弁護士にしたいわね」と繰り返した。