西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱する帯津良一(おびつ・りょういち)氏。老化に身を任せながら、よりよく老いる「ナイス・エイジング」を説く。今回のテーマは「日銭を稼ごう」。
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【ポイント】
(1)子どものころから、お金には執着がなかった
(2)貯金なし、だから日銭を稼ぐ
(3)稼げるまでは稼ぐ、それがナイス・エイジング
定年になった人が夫婦で30年間生活するためには、年金とは別に2千万円が必要だという話が、話題になりましたね。うーん2千万円ですか。私はそんなお金、貯めたことがないですね。
貯金は病院を建てるときに使ってしまいました。ここ20年、借金は大いにあっても、預金通帳は常に薄氷です。
子どものときから、お金には執着がありませんでした。母親が商売をやっていて収入があったせいか、私がお金をねだると、嫌な顔をせずに言い値だけくれました。もらったお金はすぐ使い果たしましたが、またもらえるという気持ちがあったから安心でした。
子どものころから、お金を貯めるということがなかったのです。いわゆる「宵越(よいご)しの銭は持たぬ」というやつですね。それが大人になっても続いています。
さらに、がん患者さんたちと付き合うようになって、患者さんより一歩でも死に近づこう、今日が最後と思って生きようと考えるようになりました。今日のお金が工面できれば、それでいいのです。
そこで必要になるのが、日銭を稼ぐということです。今日の晩酌に必要なお金ぐらいは稼いでおこうというわけです。
私の場合、病院で働いてもそのお金は借金の返済で消えてしまうので、もっぱら講演をしたり、原稿を書いたりして日銭を稼いでいます。
でも、この日銭を稼ぐというのが、とてもいいんですよね。貝原益軒は養生訓のなかで、「家業に励むことが養生の道」と働くことの大事さを説いていますが、まさにそうなのです。