人工の汗であっても、蒸発するときに体温を下げる。 良い汗をかくには、夏でもシャワーで済ませず、浴槽につかったり、ウォーキングをしたりして、なるべく汗をかきやすくする生活習慣をつけることが大事だという。
「それを、私は、汗腺トレーニングと呼んでいます」
高齢になると、汗を分泌するエクリン汗腺(能動汗腺)が減る。下半身から減るという。
「高齢者の足がカサカサなのもそのためです。残った上半身の汗腺からどっと汗をかくから、発汗が追いつかないんです」
高齢者だけでなく、有酸素運動などをあまり行わず、新陳代謝が落ち、汗腺の感度が落ちている人に五味医師がすすめる汗腺トレーニングのやり方は、下記をご覧いただきたい。
「これを2週間集中して行うと、汗をかきやすい体になっていきます。1年に3回くらいやるといいでしょう」(同)
熱中症予防のため、レッツ汗活だ!
「熱中症は健康管理や維持ができない人がなっているんです」
こう話すのは、熱中症に詳しい帝京大学医学部付属病院高度救命救急センター長である三宅康史医師だ。
三宅医師によると、心臓病や糖尿病、脳卒中の後遺症や、精神疾患のある人は熱中症になりやすく、さらに、なったときに重症化しやすい。日ごろから、栄養バランスの良い食事を心がけ、散歩もし、体をしっかり鍛えておくことが遠回りのようで近い、熱中症予防法だ。和食は塩分が多いため、熱中症予防には向くが、高血圧の人には持病に悪い。大事なのは、本人による「自己管理」という。感覚に頼らず、日々体の状態を「視覚化」することをすすめる。
「毎朝、決まった時間に血圧・体重・体温・心拍数を測定しましょう」
続ければ、体調の変化に気づいて、対応も早くできる。体重が減ってきていれば脱水状態を、血圧が上がり体重も増えていれば、塩分と水分の取りすぎという事実に目が向けられる。
「高齢者は暑さを感じにくいので、体の声を聞くだけで過ごしていたら、のどもかわかず水も飲まない。だから本当に危険なのです」