──年齢を重ねるごとに変わってきた部分はある?
40代になってから、歌うことが純粋に楽しいと感じるようになりました。自分が思い描いたものが形になることの面白さというか、「こういうメッセージを込めたい」という自分のビジョンやイメージ、こだわりがあるので、それが実際に形になっていく過程がすごく楽しい。自分の感性をようやく信じられるようになってきたんです。「これでいいのかな?」という迷いがなくなってきた一方、「これでいいんだ」という確信が強まりました。
──何か転換点はあったのですか?
去年開催した「氷川きよしスペシャルコンサート2018」(東京国際フォーラム)で、20周年に向けての一つのステップを踏めた気がします。演出や衣装まで、徹底的に自分の意見を詰め込んで、いろんなことをやらせてもらいました。オープニングから度肝を抜くような演出で、大きな羽を背負って、白い天使のようなイメージで「冬のペガサス」(18年)を歌いました。シャンソンを歌うときには、お客様がその世界にスッと入ってこれるように貴婦人っぽいイメージの服を着て、会場からどよめきが起きたり(笑)。長く応援してくださっている方々からはびっくりもされたんですけど、いろんな人から「すごく良かった」と言われて、本当に嬉しかった。「これも自分なんだ」と確信が持てたときに、人は喜んでくれるんだ、挑戦することの醍醐味ってこういうことなんだと思いました。これからは、手探りながらも、表現したいことを表現させてもらいたい。一つのカラーの中にとどまってたら、広がらないですから。
──多忙な日々の中での息抜きは?
お料理ですね。仕事が終わって夜11時とかに帰っても、なんかやっぱり作るんですよ。無心になれるし、リセットできるから。一日中作っていても苦にならないんです。最近はピザを生地から作るのにハマってます。夜、急に思いついて小麦粉にイースト菌を入れてこねて、1日寝かせて、生地を麺棒でのばして……。ピザ用の“おソース”も自分で作ってあるんです。おソースを塗って、トマトをスライスして、チーズをかけて、オーブンで30分ぐらい焼いて食べるんですけど、おいしいですよね。やっぱり自分で一から作るのはすごく楽しい。めんどくさいけど、自分で作ったっていう手作り感がいいですよね。