──具体的に、どんなことを表現していきたい?
今まではお客様に喜ばれるものを歌ってきて、ヒット曲にも恵まれましたが、これからは「人生を歌う」というテイストも入れたい。一曲、一曲、自分の人生を重ねながら歌っていきたいです。歌の世界に合った主人公を演じぬいて、ステージでその生きざまを見せられたら。一つの型にはまらない氷川きよしを見せられたらと思います。
──“氷川きよしらしさ”として語られるお茶目な部分も含めて、これだけ三枚目がサマになる人も、他にいないと言われます。
ダサさ加減とか、可愛らしさ加減とか、天然っぽいところとか、どこか抜けていて、完璧じゃない未完成な感じとか……そういうものを全てひっくるめて氷川きよしらしさ。本当の自分は、もうちょっとセクシー系なんですけどね(笑)。
──お茶の間でおなじみの氷川きよし像と、素顔の氷川さんとは全く違う?
うーん、氷川きよしもあり、素もありという感じですね。デビューするとき、プロデューサーから「馬鹿にされればされるほど、世間から顔と名前を覚えてもらえる」と言われたんです。デビュー曲で「箱根八里の半次郎」を歌うことになったときも、「きよしのズンドコ節」のときも、正直その世界観がよくわからなかった。だけど「茶髪にピアスの今どきの若者が、演歌? 股旅?となる。そのギャップが面白いんだ」と言われて、結果的にそれがヒット曲になりました。
──3月には、新曲「大丈夫」と「最上の船頭」を両A面でリリースしました。
「大丈夫」は「ズンドコ節」と同じような匂いというか、昭和テイストでほっとする懐かしい感じの曲。氷川きよしテイストで、どこかちょっとコミカルで元気が出る歌です。歌は年代によって好みが分かれるのも面白いところ。70~80代になると「最上の船頭」のようなしっとりした演歌がいいという人が多いけど、40~60代は、「大丈夫」のテイストが好きという人が多いですね。