でも、一人じゃなくてよかったと思った。私たちには甘いものが必要だ! そう言い合いカフェに入った。たっぷり甘いもの飲んで一息ついて、顔を見合わせて涙ぐんで、笑った。

「普通だったら私に、男の言うこと聞いて車前に出してって、諭すと思う。よく言わなかったね?」と私が言うと、社員は言った。

「正直、動かないんだ!って驚きました。でも怒鳴られて動くほうが違う」

 そうよね、怖かったけど、間違ってないよね。私たちは泣き笑う。

“男に”怒鳴られても言うことを聞かず、「“男の”業務を妨害した」(警備会社にクレームを入れたところ、そのような説明を受けた)私たちは非常識かもしれない。でも、こんなふうに一緒に怒ってくれる仲間がいれば、自分を見失わずにハンドルを握り、アクセルとブレーキをコントロールできるのだと信じられる。そう思えた。

週刊朝日  2019年7月12日号

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