岸信介が米国と結んだ安保条約では、日本が他国から攻撃されたら、米国は日本を守る。ただし、米国が他国から攻撃されても、日本は特別の行動を取らないことになっていた。
これは、冷戦とは東西冷戦であり、日本は西側の極東部分であって、冷戦時には米国はソ連からの攻撃に対して、極東部分を守る責任を持っていた。だが、冷戦が終わって、米国は極東部分を守る責任がなくなった。
だから、米国がまともに付き合おうと思う国にならないと、見捨てられる危険性がある。彼らは、日米安保条約を片務性から双務性にすべき、つまり、米国が他国から攻撃された場合には、日本も米国を守るべきだ、というのである。
そのことを具現化したのが、安倍内閣の集団的自衛権の行使を認めることだったわけだ。
2016年の秋、安倍首相とそのことについて話した。安倍首相は、「米国側から、集団的自衛権の行使を認めるまでは、日米同盟が持続できないと脅されたが、認めた後は何も言わなくなった。満足しているのだ」と話した。
この問題については国内でも違憲論が少なくないが、米国は満足しているのだという。トランプ氏は、その経緯を知らないということなのか。
※週刊朝日 2019年7月12日号