田島貴男のORIGINAL LOVEの新作『bless You!』が好評だ。
「みんなの命を祝福したい思いからできたアルバムが『bless You!』です。実はテーマがなかなか明確にならなくて2,3年考え続けていました。『ゼロセット』『ハッピーバースデイソング』と曲ができていくうちに、自分が思っていること、願っていること、つくりたい作品の輪郭がはっきりしてきたアルバムです。世の中は、歴史的な偉人たちだけがつくってきたわけではない。何百億、何千億の名も知れぬ人によって今の世界はある。ひとつひとつの命を祝福する音楽があってほしいし、つくりたい。歌いたい。そんな思いで、レコーディングしました」
自分がやりたいことや思っていることが、アルバムをつくるプロセスで、より明確になっていった。
「最初は、小さなテーマが破片のように転がっていました。それが少しずつつながってカタチになっていきました」
作品をつくることは、自分の心を深く追求していくことでもあったのだ。だから、自分が生んだ作品によって、自分自身が影響を受けることもある。
「アーティストは自分が生んだ作品によって自分の運命が変わっていくこともある。ジョン・レノンも、マーヴィン・ゲイも、ジム・モリソンも、自分が作った曲に影響を受けてその後の人生が決まっていったところもあると思う」
ジョン・レノンはビートルズの後期からソロにいたるまで愛と平和の曲を多く歌った。そして40歳のとき、狂信的なファンの凶弾に倒れた。マーヴィン・ゲイは平和を祈る歌を歌う一方で、愛する女性への性的欲求や自分の離婚をオープンにする作品も生んだ。そして44歳のとき、両親の喧嘩を仲裁したことをきっかけに実父に射殺された。ドアーズのジム・モリソンは、ドラッグを想起させる作品を数多くつくり歌った。そして27歳のときに、パリのホテルでドラッグの過剰摂取で他界した。