ピラミッド3/ピラミッド
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5年の歳月を経て再始動「70年代ジャズ・クロスオーヴァーへのオマージュ」
PYRAMID3 / PYRAMID

 ファン待望の再始動だ。高校時代のバンド仲間だった3人が、鳥山の呼びかけにより2003年から活動。オーケーボーイズのバンド名をPYRAMIDに改称して、2005年にアルバム・デビューを果たしてから本格的なキャリアがスタートした。

 ギタリストとして数多くのセッションに参加し、アレンジャー、プロデューサーとしてもJポップ、クラシカル・クロスオーヴァー、アニメーション等、幅広く活躍する1959年生まれの鳥山雄司。80~90年代にザ・スクエアに在籍し、アコースティック・ジャズにも情熱を燃やしてきた58年生まれの和泉宏隆。カシオペアのオリジナル・メンバーとしてバンドの屋台骨を支え、ドラムス1セットだけで行うワンマン・オーケストラという画期的なスタイルを開発し、世界中にその名を轟かせる59年生まれの神保彰。Jフュージョン界の歴史を作ってきたヴェテラン3人のスーパー・ユニットは、翌2006年には第2弾をリリースし、大きな話題を呼んだ。しかしその後は諸般の事情によって、事実上活動休止の状態が続く。そして5年の歳月を経て、ようやく登場したのが第3弾の本作というわけである。

 今回のテーマは「70年代ジャズ・クロスオーヴァーへのオマージュ」。このコンセプトを体現する象徴的なトラックが#2だ。ジョージ・ガーシュウィンが書き、多くのジャズ・ミュージシャンがカヴァーしてきた名曲を取り上げるにあたり、PYRAMIDは73年のデオダート・ヴァージョンを参照。オーケストラが入ったデオダート版に比べるとかなり少ない5人の演奏は、少人数で最大の効果を発揮したコピー・ヴァージョン、ではなく、そこにクラシック曲のフュージョン化でのパイオニアとなったデオダートへの敬愛が感じられるのがいい。葉加瀬太郎のヴァイオリンをフィーチャーしたアイデアも、彼らの独自性の表現だ。

 75年のハービー・ハンコック『マン・チャイルド』からの#7は、原曲に入っていたサックスがいない代わりにギターが主役となって大暴れ。アジムス79年の#5はNHK-FMの番組「クロスオーヴァー・イレヴン」のテーマ曲として広く知られており、多くの音楽ファンにとって青春時代が甦るナンバーを、原曲とは趣を変えてアコースティック主体の心地よいサウンドに仕上げた。3人はほぼ等分に自作曲を提供。すべてがカヴァー曲に劣らぬ出来ばえで、それが作品のクオリティを高めている。

 現在50代初めの3人が作り上げた本作は、特に同世代のフュージョン好きなら共感すること間違いない。

【収録曲一覧】
1. Whenever You Want
2. Rhapsody In Blue
3. Nuuanu No Kaze
4. Love Infinite
5. Fly Over The Horizon
6. Ticket To Ride
7. Hang Up Your Hang Up
8. Scaly Foot
9. Night Stream
10. Time Line
11. Ray Of Hope

PYRAMID (allmusic.comへリンクします)

和泉宏隆:Hirotaka Izumi(p,key)
鳥山雄司:Yuji Toriyama(g)
神保彰:Akira Jimbo(ds)

2011年作品

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