北原みのり「上野千鶴子さんの祝辞は事件レベル」

　作家・北原みのり氏の週刊朝日連載「ニッポンスッポンポンNEO」。東京大学入学式での上野千鶴子氏の祝辞について言及する。

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　ここ何日間か、新5千円札へのコメントを雑誌や新聞から求められている。元塾生として「なぜ1万円札でない？」と不満を漏らしつつ、「女子教育の先達の起用、嬉しいです」と答えている。

　そうこうするうちに、津田梅子の顔の向きが、お札のデザインに合わないという理由で写真を反転していることが判明した。「どう思いますか！？」とまたコメント依頼だ。「なめてんじゃねーよ！」と言いたい。同じこと、渋沢栄一にする？　伊藤博文にできる？　今回、起用されたのは30代の梅子である。50代の梅子の写真には、お札に合った方向を向いているものもあるというのに、「おばさん」が象徴になるのは、嫌なのか？

　そんなコメントをしながら、大学時代を思い出した。今の津田塾のことは知らないが、私が通っていた90年代初頭は、全国から来た仲間たちと自由な空気の中で、高いレベルの教育を受けることができた。先生にも友人にも恵まれ、共学時代に失い続けた「女の子」としての自尊心や痛みが急速に癒やされていくのを感じたものだ。本当に豊かな学生時代を過ごさせてもらった。