アルバムの幕開け、アカペラの多重録音によるコーラスに始まり、マーチング・バンド風の演奏になる「Love Parade」。鈴木とライヴ・バンドのメンバーの大坪稔明との共作で鈴木自身が制作を手がけている。続く、布袋寅泰と森雪之丞の共作で布袋が制作を手がけた「愛のFunky Flag」の制作中、“「カラフルなフラッグの下に集まったみんなで次の時代へ向かうパレード」っていう、アルバム全体を象徴するキーワードが出てきた”ことから“これはもうマーチしかない!”と書き下ろした曲だという。

 その布袋寅泰には最初に声をかけ、制作を委ねたという。ソロ・デビュー曲「ガラス越しに消えた夏」やデビュー・アルバムの録音に関わった縁があってのこと。今回はロンドンで録音。シャープな布袋寅泰のリズム・カッティングにリズミカルなクラヴィネットの演奏がからみ、70年代のファンキーなディスコ・チューンが思い浮かぶ。鈴木の歌もパワフルだ。

 松尾潔が豊島吉宏と共作し、松尾が制作を手がけた「シークレット・ブギー」は、唸るシンセ・べースにナイル・ロジャース風のリズミカルなギターが絡むファンク・チューン。鈴木のどっしりとした歌いぶり、ゲスト・コーラスの露崎春女との掛け合いの妙が光っている。

「ラブ・ドラマティック」はいきものがかりの水野良樹の提供曲で、同グループの編曲、ポルノグラフィティの制作を手がけてきた本間昭光が制作を担当。ポップなJ-POP的な曲で、鈴木は伸びやかな歌を聴かせる。ゲスト・コーラスにバブリー・ダンスでその名を知られた登美丘高校ダンス部元キャプテンの伊藤六花が参加。

「スクランブル交差点」は冨田ラボとKIRINJIの堀込高樹の共作で、冨田が制作を手がけた。冨田にはミディアムのバラードを任せたかったとのことで、当初、ウィリー・ミッチェルが手がけたアル・グリーン風を意図していたそうだが、冨田のアイデアでザ・ルーツのクエストラヴの制作曲がヒントになったとか。鈴木は俯瞰的な表現でスクランブル交差点を背景にした恋人同士の在り様を浮かび上がらせる。ヴォーカリストとしての新境地を見せた本作でのハイライト曲だ!。

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