看板学科の評価が大学のブランド力を示す時代となった。大学の顔である「至高の学科」を訪ねる。今回は早稲田大学・文化構想学科。
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2007年に新設された文化構想学部。唯一の学科が文化構想学科(文構)だ。東進ハイスクールによると、18年度入試で文構と文学部にW合格した人のうち、約半数が文構に進んでおり、人気を分け合っている。文構の宮城徳也教授に人気の背景について聞いた。
第一文学部(一文)と第二文学部(二文)の再編に伴い、文構と文学部の“兄弟学部”が誕生。文学部は伝統的な学問を深く究め、文構は現代社会をテーマにし、文化人類学や社会構造論など、多様な学問を学ぶ。
「文学部がおおむね一文のコースを引き継いだため、文構が二文の後継と見られることもありましたが、それは違います。伝統的な文学部の学問を踏まえながら、さらに現代の課題や新たな社会のあり方を考えるのが文構の特徴です」
人気の理由は、学生が関心のあるテーマを学べることだ。それを実現させるのが、文学部と共同で開講する「ブリッジ科目」。科目数は1千以上で、シェークスピアやプラトンなどの人文科学の古典から、ウェブ文化論や恋愛テレビドラマを題材に、「愛の諸相」を研究する新しい領域の学問まである。
「学生の関心に応えられるのが強みで、興味に沿って学習を組み立てられ、新たな関心を見つけられる。今の学生の志向に合っている」
カリキュラムは学生の関心を学術的に強化する内容になっている。1年次は学習に必要な調査力や思考力を養成する基礎演習など。2年次からは専門課程に入り、「複合文化」「表象・メディア」「文芸・ジャーナリズム」など六つの論系(系統)に分かれ、3年かけて学術的な方法論を身につけていく。
外国語教育の狙いはユニークだ。1年次は週1コマの英語の授業に加え、週4コマの第二外国語も必修。フランス、ドイツ、ロシア、中国、スペイン、イタリア、朝鮮、アラビアの各言語から選ぶ。各言語で会話、文法、作文などの豊富な授業を用意しており、自由に履修できる。ギリシャ語、ラテン語、サンスクリット語の授業もある。