都内の家電量販店に掲げられたお祝いの垂れ幕(撮影/多田敏男)
都内の家電量販店に掲げられたお祝いの垂れ幕(撮影/多田敏男)

 新しい元号が「令和(れいわ)」に決まり、お祝いムードが高まっている。都内の家電量販店には「令和おめでとう」の垂れ幕も登場した。新元号が施行されるのは、皇太子さまが新天皇に即位する5月1日。平成が終わり新しい時代が始まるこの日に向け、お祝いムードはさらに高まっていく。

 だが、経済的には明るいどころか先行き不透明感が増している。お祝いどころか景気後退モードに様変わりする可能性もあるというのだ。その理由の一つが10連休の悪影響。

 今年の大型連休(GW)は新天皇の即位に伴い5月1日などが休日になるため、多くの企業がかつてない10連休となる。外食や旅行に出かける人が目立ち、お祝いムードもあって、個人消費はいったん伸びると見込まれている。せっかくの連休なので、財布のひもが緩むというわけだ。

 ところが、連休明けからはその反動が予想される。「改元はおめでたいことですが、10連休でお金を使いすぎた消費者が一気に節約モードにシフトする可能性があります。お祝いムードが景気後退モードへ様変わりする可能性があることに、十分な注意が必要でしょう」

 こう警鐘を鳴らすのは第一生命経済研究所の永濱利廣首席エコノミスト。影響は消費だけにとどまらない。

「製造業では工場の稼働日が減り、生産量の抑制を通じて日本経済への押し下げ要因になります。役所や銀行、病院などが長期間閉鎖することによって社会生活への悪影響も懸念されます」(永濱さん)

 金融市場でも警戒が必要だ。連休中は市場での売買ができなくなる。機関投資家がいったん保有する株式を売ろうとするため、株価下落のリスクが高まる。

 ほかにもシステム障害の恐れがある。役所や企業は、改元に向けコンピューターシステムの改修を急ぐ。連休が明け大量のデータ処理が必要なタイミングでトラブルが起きれば、混乱は必至だ。

 こうしたリスクに配慮すると、経済的には喜んでばかりいられないことがよく分かる。

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足元には景気後退の懸念