「日本がしてきたことを、自分の問題として考えていきたい」
何か新しい流れが生まれている。そんなことを思いながら、水曜デモの後、植民地時代の資料が観られる植民地歴史博物館に寄った。展示のなかに、徴用工として樺太に連行された人が朝鮮に残る家族に送った最後の手紙が展示されていた。1948年9月5日の日付に、言葉を失う思いになる。戦争が終わって3年。強制連行された土地に、多くの朝鮮人が取り残され、終戦後も故郷に帰れなかった。遺骨もない、死んだか生きているかもわからない。声を聞くことももうできない、そういう人たちの声が、歴史の中に埋もれている。
その声一つ一つを聞いていく。そのようなことが、これからの私たちに求められている。それは果てしないことのように、ずっと思っていたけれど、もしかしたら若い世代がうみつつある、勢いのある美しい流れが、時代を変えていくのではないか。そんな希望を感じられる韓国旅行になった。
※週刊朝日 2019年4月5日号