芋焼酎なんてあんだけ強烈で独特なにおいがするんだから、間違えるわけはないと思うだろう。ぼくもそう思っていたし、焼酎くらいは嗅ぎ分けられる自信があったので、テイスティングの練習飲料にも入れていなかった。
もっとマニアックなリレとかアブサンとかで、テイスティングの練習をしていた(ワイン以外にもいろいろ出題されるのだ)。まったく汗顔の至りだが、こういうシンプルな香りも、ブラインドで出されると案外わからないものだ。
ワイン造りがうまくいかなかったり、保存に失敗したりすると不快臭がでる。硫化臭、酸化臭、コルク臭などがそうだ。コルク臭のことをブショネともいう。ブショネはコルクがカビに汚染され、その漂白処理で塩素がつくとトリクロロアニソール(TCA)という物質がもたらすにおいだ。ネズミの体臭のような独特のにおいがする。
ブショネがあると、「君、取り換えてくれるかな」とソムリエに言ってワインを取り換えてもらえる。逆に言えば、健全な保存がされているワインだったら「気に入らない」という理由で取り換えを頼むのはマナー違反だ。注意したい。
ところで、小原陽子氏によると、実はブショネがあるとされたワインを分析しても実際にTCAが含まれているものはほとんどなかったのだという(日本ソムリエ協会「Sommelier」2017年7月号)。実は、ブショネはTCA以外が原因だったのだろうか?
今後、研究が進めばこれまでのワイン学の常識が覆るかもしれない。

