「プレッシャーも特に感じていません。いい心境で(ここまで)きている」
フィギュアスケートの世界選手権(20~24日、さいたまスーパーアリーナ)を前に18日午後、女子シングルの日本代表の記者会見が開かれた。ひときわ発言に注目が集まったのが、トリプルアクセルが武器の紀平梨花。会見では大舞台を前に、疲れも感じず緊張もしていないと語り、シニア1年目、16歳の紀平は死角なし、といったところだろうか。
解説者の佐野稔さんは次のように話す。
「紀平さんは、トリプルアクセル以外のジャンプもことごとくクリーン。回転不足もとられず、高得点を狙える3回転ジャンプを持っています。トリプルアクセルが入れば一気に得点力が上がります」
トリプルアクセルといえば、やはり浅田真央さんだ。プロフィギュアスケーターの村上佳菜子さんは、紀平との違いについて次のように表現する。
「風を切るように跳ぶのが紀平選手、羽根がふわっと浮くように跳ぶのが浅田さん。どちらのほうがいいというわけではなく、それぞれ個性があって魅力的だと思います」
一方、佐野さんは、紀平の「線」を高く評価する。
「紀平さんは身体能力が高く、体の線をきれいに美しく見せられるジャンプを跳びます。多少軸がぶれても、くいっと空中で体勢を整え、着地できるのです」
紀平はインタビューで、「筋肉」の状態についてよく発言することからも、佐野さんはこう解説する。
「紀平さんは、スピードに乗せて、ジャンプにつなげていく技術を持っています。筋肉をうまく反応させる力に優れている」
ただ、トリプルアクセルに頼ったプログラムは諸刃の剣。解説者の本田武史さんは指摘する。
「トリプルアクセルを成功させれば、難易度の高いプログラムになるので、点数が高くなると思いますが、その分、リスクも高い。今季もショートで失敗してフリーで逆転ということが多かった。失敗すると、完璧に滑った選手が上にくる可能性もあります」