日本女医会の前田佳子会長の話もすばらしかった。厚生労働省は、女性医師の働きを男性医師1に対して、0.8と換算している。その0.8の根拠は、「女性は結婚や育児で辞めるかもしれないので、こんなもんでしょ~」といった感覚的な数字で全く根拠のないものだ。その数字をもって、専業主婦の妻を持つ男性医師が限界まで働けるように設定したのが、医師の労働時間に反映されている。前田医師は「根拠のない数字を元に論じるのはやめてほしい」と怒りを露にしながらも、「沖縄県で県民が声をあげても、それが国民の声にならない日本社会で、若い人たちが声をあげようという動きは大切なことだ」と話してくださった。
あ、と思う。やっぱり、全部、つながっているのだ。私たちの日常と、この差別。男が外・女は内、という価値観。男のプライドは社会総出で全力で守りつつ、女は社会の入り口で排除。抗議の声は強引にスルー。根拠のない数字をもっともらしく公表し差別を正当化。こんなめちゃくちゃが、軽々と通ってしまう国になっているのだ。
集会からの帰り道、昭和大の医師2人が女性に薬を飲ませ(体内から検出された)、性暴行を働いたニュースがスマホニュースで流れてきた。ここも、きっとつながっているよねと、空を仰ぎたくなる。男に高い下駄を履かせ、女の人生を軽視するような、そんな環境で育つ暴力だ。
暴力と差別の連鎖、断ち切りたい。
※週刊朝日 2019年3月15日号