作家・北原みのり氏の週刊朝日連載「ニッポンスッポンポンNEO」。今回は入試差別に関する集会から考えた「差別」について。
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2月27日、参議院議員会館で医学生たちが企画した「入試差別をなくそう!学生緊急アピール」の集会があった。
東京医大の差別入試が発覚したのは去年の夏。当時から「東医だけじゃない」という声はあがっていたけれど、文部科学省の調査開始後に性差別を認めたのは、結局、東医と順天堂大、北里大だけだった。男女の合格率が激しく違う昭和大や、日大医学部、2浪以上の女性がほぼ合格していない聖マリアンナなどは、性差別はしていない、と早々と公言した。真実は結局、ブラックボックスだ。
私が関わっている入試差別被害者には、東医、順天堂2校から「あなたは合格していました」という通知を受けとった人がいる。本当ならば払わなくてよかった予備校代、本来ならば医学生になれていたこの1年間の責任は、誰が取るのだろう? 大学側は明確な賠償については未だに発表していない。あまりにも、女性の人生を甘くみている。
集会では、様々な立場の有識者が意見を述べた。全国保険医団体連合会女性部の齊藤みち子さんという方のお話は、印象的だった。齊藤さんは、女性の医師国家試験合格者が全体の3割を超えた2003年から10年以上横ばいであることに数年前に気がついたという。
「その時点で、医学部入試差別に気がつくべきでした」
齊藤さんが会場で配った国家試験合格者の女性割合のグラフは、衝撃的だった。90年代半ば頃まで約25%だった女性の割合は毎年増加しているのだが、03年にピタッと止まるのだ。それは本当に不自然な停滞だ。