定員厳格化の波が押し寄せ、私立大を中心に生き残り策を打ち出すことに余念がない。健康や情報といった時代のニーズに対応する新しい学部を設けたり、既存の学部の看板を掛け替えたりして、学生獲得に動いている。就職率など、過去10年で新設された学部に注目してみたい。
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2009年度から17年度までに新設された主な学部を見ると、注目は医療・健康系や国際系、情報系だが、観光系などもあり、各大学が独自路線を打ち出し、学生獲得に躍起になっている。
こうした学部を選択する際、指標になるのが志願者数や就職率だ。志願者数には高校教員や受験生からの評価、就職率は企業からの評価が表れる。「大学ランキング」編集者の小林哲夫さんは、新設学部の見極め方についてこう説明する。
「資格試験の合格率も指標になるが、見分ける判断は、実力がつく教育になっているか否か。例えば『国際系』といっても、語学を重視したり、学問を重視したりとさまざまです」
それでは、新設学部がどういった“実力”があるか、見ていこう。
まずは法政大が09年に新設したスポーツ健康学部。糖尿病や肥満など生活習慣病への対策や、運動を通じて中高年者の健康寿命を延ばすことが求められている時代背景から、「健康増進に貢献できる人材の育成」に取り組んでいる。
学部には三つのコースがあり、運動による健康増進の方法などを学ぶヘルスデザインコースや、スポーツの指導者を育てるコース、スポーツビジネスが学べるコースがある。スポーツリハビリやフィットネス・トレーニングなどの実習を重視する。
就職率は99.2%。就職先は教員や医療機関、福祉施設、フィットネスクラブのほか、金融やマスコミなど幅広い。健康運動指導士やアスレティックトレーナーなどの資格を目指す学生も多い。
「一般企業の健康推進室で活躍する卒業生もいれば、健康運動指導士の資格を取得して健康グッズを取り扱うスポーツメーカーで働く卒業生もいる」(安藤正志学部長)